分解の哲学〜腐敗と発酵をめぐる思考〜

晴耕雨読(書評)
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本書はやはり「哲学」だった。

このような系統の本が好きではない限り、簡単には読めないかもしれないが私にとって本書は難しいところもあったけども、とても深く考えさせられました。

読了後に最初にしたことは、カレル・チャペックの未来小説をAmazonで買ったことでしょうか。

そして掃除のおじさんでは文字だけの描写なのに自分の中で細かなディティールまで完成した一人の個人として色彩を持って心のメンターとして存在することとなりました。

著者は食と農の思想史を専門とする研究者だそうですが、農業史を軸に科学知と人文知とを自在に行き来しながら、人間観や自然観を鮮やかに描いているのが印象的でした。

本ブログの筆者も農業をやっている者として、分解に対する圧倒的な思想に傾倒してしまいました。

本書を読み進めていくと、座りながら読んでいるにも関わらずフワフワした言いようのない感覚に襲われることがありました。

積み木というおもちゃを皆さんご存知だと思いますが、このおもちゃに言及した記述を深く読むと体がバランスを失ってしまうのです。

積木は生まれてから最初に遊ぶような単純なおもちゃですが、著者は積み木は「崩し木」でもあると表現しています。

幼児は崩れるのを楽しむために何度も何度も四角を積み上げるのです。

積む、崩す、積む、の連続が積み木遊びであり、崩す行為がなければ積み木で遊びという行為は成り立ちません。

だからこそ、積み木は分解という現象を哲学するための一素材となり得る点に深い驚きと気付きを得ることができました。

著者の思索の特徴は、ありふれた出来事から、そのディティールを徹底的に探索していくところにあると思います。