ブルーベリーの畑作りと圃場更新

必ず成功するブルーベリー栽培の秘密
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前回までは、「サザン・ハイブッシュ主産地の動向から日本の適種を探る」と題して、全5回に渡ってブルーベリーの種類や品種の特性について最近の動向などを踏まえて分析を加えて解説させていただきました。

ブルーベリー栽培の先進地であるアメリカの動向や品種特性を理解することで日本のどこでどんな品種を栽培するか検討材料になろうかと思います。

知識編としては以上で一段落ということで今回からは、ブルーベリー栽培の作りこなし技術や実際の経営における楽しみ方などをお伝えしていきたいと思います。

休眠枝による苗木育成法

ブルーベリーの苗木育成方には、主に挿し木、取り木、実生、組織培養などがあって一般に広く用いられる方法は栽培が容易で大量生産に向いている「挿し木法」です。

この「挿し木法」ですが「休眠枝挿し法」と「緑枝挿し法」の二通りがあって、組織培養技術も確立されていますが、コストがかかるため大量生産を除いては実用的ではありません。

アメリカでは、休眠枝の挿木を通して感染しやすいマミーベリー(モニリア菌)を防ぐ場合に、組織培養による苗木育成が行われています。

種子を発芽させて育てる実生繁殖は、新品種の育種に限って用いられており、アメリカ北部やカナダで野生種の果実を利用するローブッシュは、株の拡大に必要な地下茎(リゾーム)の発生しやすい実生苗が繁殖に利用されています。

穂木の準備と調整

苗木の育成で一般的な手法は「休眠枝挿し法」とお伝えしましたが、ジョージア州立大学の研究ではこの手法では発根が劣るという報告がなされ、ラビットアイでは緑枝挿し法が用いられてきました。

しかし、鹿沼土とピートモスの混合用土を用いれば「休眠枝挿し法」でも十分に発根することが東京農工大学の研究で明らかにされ、実用化もされています。

ノーザン・ハイブッシュの品種も以下の表のように「休眠枝挿し法」での発根が優れています。

ノーザン・ハイブッシュの「休眠枝挿し法」による発根の品種格差

発根の難易品種名
発根しやすいブルエッタ、パトリオット、ノースランド、ブルーレイ、バークレー、コビル、ジャージー
中程度アーリーブルー、コリンス、オリンピア、ハーバート、エリオット
発根しにくいスパルタン、ブルージェイ、アイバンホウ、ブルークロップ、ダロウ、スタンレー、コンコード

挿し穂の採取は発芽前

休眠枝挿し法」では穂木を貯蔵して用いることもできるのですが、早春(発芽前)に採取して直ちに挿し木すると良いのですが、注意点は穂木の採取や挿し木を早くしすぎないことです。

ブルーベリーは種類によって休眠打破に必要な低温要求量が異なっており、穂木を早く取りすぎたり、温室で早く挿し木したりしてしまうと発芽や生育が劣ります。

挿し穂の採取は、低温要求量(7.2℃以下の低温積算量)が満たされたことを確認してからおこない、挿し木の時期を決めるようにし、種類別ではノーザン・ハイブッシュで200~600時間(一部の品種は1200時間)、ラビットアイで400~800時間です。

この低温量の積算は地域によって当然異なっており、アメダスデータで計算することもできるのですが、農協や農業改良普及センターに問い合わせると確認できます。

低温要求量が満たされる前に挿し穂を採取しても、1~5℃で一定期間貯蔵すれば休眠打破に必要な低温要求量は満たされ、10日間の貯蔵で低温要求量は240時間、30日の貯蔵では740時間満たされることになります。

この記事のまとめ

今回からは、ブルーベリー栽培の作りこなし技術や実際の経営における楽しみ方などをお伝えしていく中で、苗木の作り方では「休眠枝挿し法」が一般的で、その穂木の準備や調整方法について共有させていただきました。

次回は、ブルーベリー栽培のために充実した1年生枝を用いる休眠枝挿しの手順とポイントを解説していきたいと思います。