多収、大粒、食味を追求するノーザン・ハイブッシュ

必ず成功するブルーベリー栽培の秘密
この記事は約5分で読めます。

前回は「育種動向を掴めばブルーベリーの目利きになれる」と題して、近年めざましい育種動向と主な品種を一覧にして紹介させていただきました。

今回は前回では紹介し切れなかった他の種類の品種一覧とそれぞれの種類や品種について深掘りした情報や日本国内の育種の取り組みについて共有させていただきたいと思います。

ノーザン・ハイブッシュはアメリカ北部の野生種であるV.corymbosumを改良した種で、他にもローブッシュとの交雑種もあって、その特性は耐寒性に優れ果実が大きくて品種や食味に優れていることにあります。

1908年に野生種から「ブルークス」と「ラッセル」が選抜されて交雑によって1920年に「パイオニア」「キャボット」「キャサリン」の3品種が育成されたことをきっかけに数多くの品種が育成されてきました。

1980年台以降もアメリカを中心に、オーストラリアやニュージーランドなどで新新種が育成されており、育種においてはアメリカ農務省とミシガン州で、大規模に取り組まれております。

この種の品種間の交雑では、早生わせ種と晩生おくて種を交雑すると早熟で開花きの遅くて霜害に強い後代を生じること、「ネルソン」を親に用いた後代は立ち性で、高品質かつ多収性の系統を生じること、「デューク」「プリギッタブルー」「エリオット」を親に用いた後代は、多収で長期貯蔵向きの硬い果実が生じることなどの特徴があります。

さらなる耐凍性を追求するならハーフハイ・ハイブッシュ・ブルーベリー

アメリカ北部や中部のミネソタ州、ミシガン州、ウエストバージニア州などの極寒冷地では、年によってノーザン・ハイブッシュ品種が凍害で問題となっています。

株全体が積雪下になってしまうような矮性わいせいと耐凍性の強化を目指して、ノーザン・ハイブッシュとローブッシュの交雑からハーフアイ・ハイブッシュの品種育成が進んでいます。

この種では50~100cmの低樹高でサッカー(ひこばえ)を多発する品種が多く、耐凍性とともに繁殖力に優れており、かつ多収で果実が大きく貯蔵も優れる「ノースブルー」や中粒で高品質な「ノースランド」が人気を博しています。

ノーザン・ハイブッシュとローブッシュの交雑種では、雑種第1代に両種の中間的な樹高の後代が多く、多収、早熟、小~中粒の果実、暗青色の果実、軟らかい果実、香りがある特性の実生で知られています。

日本では、北海道、東北や長野の高標高地などの極寒冷地で「ノースランド」や「ノースブルー」の栽培が盛んです。ハーフハイ・ハイブッシュ・ブルーベリーの主な品種

ハーフハイ・ハイブッシュ・ブルーベリーの主な品種

ノーザン・ハイブッシュの注目品種

ブルーベリー栽培の先進地であるアメリカのミシンガン州やニューヨーク州では、「ジャージー」「ルーベル」などの新植が減少し、多収で果実品質と貯蔵性に優れている「ブルークロップ」「ブルーレイ」「デューク」「エリオット」などの評価が高く、大果の「スパルタン」「ネルソン」も評価が高くて人気があります。

極大果の「チャンドラー」「ボーナス」そして「トロ」「シェイラ」「ブルーゴールド」なども注目が集まっていますが「チャンドラー」と「シェイラ」には極寒冷地における耐凍性に問題があります。

大果、高品質、多収性を兼ね備えた「ブルークロップ」と「ブルーレイ」は、基幹品種として世界のノーザン・ハイブッシュ産地で導入されています。

日本で最も栽培面積のある長野県では、ノーザン・ハイブッシュで土壌適応幅が広く育てやすい「ブルークロップ」や「ブルーレイ」を基幹に早生品種と組み合わせたブルーベリー経営で安定して高収益を上げることに成功しています。

耐寒性の優れる大粒品種は「ブルーレイ」「ブルークロップ」「パトリオット」「ノースブルー」「スパルタン」などが世界各地で推奨されています。

長野県におけるブルーベリーの品種(ノーザン・ハイブッシュ・ブルーベリー)

基幹品種 補完品種
ブルーレイ、ブルークロップ、スパルタン、コビル、コリンスデューク、パトリオット、ブルーチップ、トロ、ネルソン、タロウ、プリギッタ、エリオット、ジャージー、ディクシー、ウエイマウス
今後も継続検討してその特性や栽培上の問題点を解明したい品種早生デューク、アーリーブルー、コリンズ、ブルエッタ、スパルタン、パトリオット、ブルージェイ、サンライズ
中生ブルーレイ、ブルークロップ、トロ、ノースブルー、ブルーチップ、シェイラ、ブルーゴールド
晩生タロウ、ブリギッタ、レイトブルー、エリオット、ボーナス、ネルソン、チャンドラー

この記事のまとめ

「スパルタン」の栽培は難しいのですが、これまでの記事で解説してきたように通気性に優れる火山灰土壌でピートモスを大量にぶち込み、有機物マルチを施用して、ノーザン・ハイブッシュへ接木したり、鉢栽培をすることなどすればブルーベリーの株にとって最適な環境が得られます。

福島県や群馬県などでは「シェイラ」などの耐凍性の懸念される品種も良好に育つことが報告されており、他にも日本の育成品種ではいくつかの大学や研究機関、私の農業生産法人のような民間の研究機関で育種が取り組まれていますが、あまり数は多くないのが現実です。

主に「おおつぶ星」「あまつぶ星」「はやばや星」いずれもノーザン・ハイブッシュの3種類が登録されているのみとなっています。

その育成も、コリンスやコビルなどの実生からの選抜が中心で、アメリカでのような明確な育種目標に基づいた種間交雑などを行なっているのではないため育成の実は今後に期待するといったところでしょうか。

次回は、西日本編として高品質の暖地向き品種に特徴のあるサザン・ハイブッシュやラビットアイについて解説させていただきます。