ブルーベリー栽培は水の確保に全力を捧げろ

必ず成功するブルーベリー栽培の秘密
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前回は「圃場の通気性と保水性の両方を実現する方法」と題して、農家あるあるにもなる農学書などによく書いてある水捌けが良くて保水性の高い畑作りについて共有させていただきました。

一見、相反するような土壌を物理的に実現する必要があるわけですが、特にブルーベリーの根は根毛を持たないので、土壌水分を保持できない土や加湿によって通気性の劣る土壌は不向きなので根域などについてご理解いただけましたでしょうか。

ブルーベリーの根郡は浅いので、ほとんどが地表から30cm~50cmに分布しており、このことが耐干性の弱さの理由の一つになっており、根郡の広がりや量は種類によって異なってきます。

例えばラビットアイの根群は比較的深くて、ノーザン・ハイブッシュよりは干ばつにに対して強い傾向にあります。

また、サザン・ハイブッシュの根群はラビットアイほどは大きくないのですが、フロリダに自生している育種親の遺伝的特性である高温と乾燥に強い性質を備えています。

ローブッシュは多少乾燥気味の地域に自生しており、リゾームと呼ばれる地下茎が多発して生長する特性から、ノーザン・ハイブッシュよりは若干、乾燥に強い傾向にあります。

ただし、このようにブルーベリの種類によって差はあるものの、他の作物よりも圧倒的に乾燥に弱く、日本で栽培を成功させるには蒸散が盛んな夏季にブルーベリーが必要なだけ潅水できるかが最大のポイントとなります。

ブルーベリーの株元が乾いていたら、まずは潅水

アメリカの主要な産地の年間降雨量は1000~1300mmですが、潅水設備を備えている圃場が多く、乾燥に弱いノーザン・ハイブッシュの栽培適地は、地下水位が地表下30~50cmに保たれて、生育期間を通じて根域の土壌水分が一定で、保水性も確保できる場所です。

このアメリカの産地のような場所が少ない日本では、潅水を前提とした圃場設計が必要です。

この辺りについては前回の記事でも紹介させていただいた私の農業生産法人における取り組みを参考にしていただけましたら幸甚に存じます。

とにかくブルーベリーの定植が終わってからは、毎日の観察を忘れずに続けて新梢の萎れなどに細心の注意をはらいます。

ブルーベリーは水が不足してくると、新梢が全く伸びませんので他の作物よりも水不足に対して敏感ですのでWEBカメラなどで定点観測することをオススメします。

ノーザン・ハイブッシュでは4~10月の生育期を通じて1週間に20~40mm、1ヶ月で100~200mm、生育期間全体にすると700~1400mmの定期的な降雨や潅水が必要で、蒸散の激しい夏季には毎日のように潅水を行います。

潅水方法はスプリンクラーや点滴潅水がありますが、点滴潅水では1株に対して2点の潅水ノズルを用意してあげる方が良いでしょう。

スプリンクラーの場合には、散水ノズル1個あたり1時間に37ℓ、点滴潅水なら1ドリッパーあたり1時間3.7~7.4ℓの排出量となります。

アメリカのブルーベリー主要産地における蒸発散量と潅水

蒸発散量必要潅水量(降雨量含む)潅水法とノズル、ドリッパーあたりの排出法蒸散ピーク時の水分要求量/株
ノーザン・ハイブッシュ 6.4mm/日 45mm/週ノーザン・ハイブッシュ 20~40mm/週(生育期) 700~1400mm/年
ラビットアイ 25~50mm/週
スプリンクラー潅水 37ℓ/ノズル/1時間
点滴潅水 3.7ℓ~7.4ℓ/ドリッパー/1時間
1~2年生株 2~3ℓ/株/1日
4~6年生株(蒸散のピーク) 10~15ℓ/株/1日
7年生以上の成木(蒸散のピーク時) 22~30ℓ/株/1日

夏季の蒸散量が多いアメリカの南部にあるアラバマ州では、蒸散ピーク時の水分要求量は、1~2年生株で2~3ℓ、4~6年生株で上の表のように1日に1株あたり10~15ℓ、7年生以上の成木で22~30ℓとなっております。

この潅水量については時期によって異なっており、点滴潅水では定植後1~2年生のような幼木では1日1株あたり2~3ℓ、4~6年生株で1日1株あたり4~5ℓ、7年生以上の成木で9ℓ以上となっております。

潅水の必要度を種類別に解説

根郡の広がりの違いを先に解説しましたが、ラビットアイとノーザン・ハイブッシュとでは別の作物であるかのように耐干性に大きな違いがあって、ノーザン・ハイブッシュにはラビットアイに比べものにならないほど、頻繁な潅水が必要となってくるので注意しましょう。

耐暑性に劣るノーザン・ハイブッシュ

東京に気候条件がよく似たアメリカのノースカロライナ州で栽培されているノーザン・ハイブッシュにおける夏季の蒸発散量は、成木で1日あたり6.4mm、1週間では45mmほどになります。

これを目安に、干ばつが続いた場合には、幼木~若木で2~3日に1回、成木では5日1回の間隔で潅水を行なっています。

例えば私たちの農業生産法人で育てているノーザン・ハイブッシュのスパルタンを、長野県にある高冷地の黒ボク土で育てていますが、これまでの説明のようにほぼ毎日のように潅水しております。

黒ボク土や砂地などで通気性に優れた土壌では保水性に劣るため、夏季に1週間も降雨がないと株にとっては大きなストレスとなります。

ブルーベリーの株にとって感想は果実肥大と収量に大きく影響し、収穫後である8月~9月では新梢の生育と花芽形成に大きな影響を与えます。

また生育中の急速な乾燥は、土壌中の肥料濃度を高めて根を傷めることにも繋がりかねません。

土壌乾燥の影響は、耐干性が優れるラビットアイよりも根郡が浅く、地温上昇の影響を受けやすいノーザン・ハイブッシュで顕著な傾向にあります。

乾燥にちょっとは強いぞラビットアイ

ラビットアイは先ほどの説明させてもらったように、ノーザン・ハイブッシュやサザン・ハイブッシュに比べて乾燥に強い傾向があり、アメリカの主要な栽培地域である南部に位置するミシシッピ州においては、ラビットアイの生育に必要な1週間の降水量を25~50mmとしています。

特に、新しく定植をしたブルーベリーの株への灌水はとても重要ですが、乾燥に強いとあっても、根毛がなく浅根症のブルーベリーでは、他の作物より頻繁で精密な灌水管理が必要となるので注意をしましょう。

以上で、ブルーベリーは乾燥に弱く、根郡域も浅いので水の確保に全力を捧げなければならない作物である事がご理解いただけたと思います。

次回は、ブルーベリーの根域を乾燥させないための施策をご紹介したいと思います。