農家が土壌学で知っておくべき3つのバランス

美味しい食べ物の育て方
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わたしたち農業に関係する人間にとって土壌といいますと作物を育てる肥沃な土地というイメージをもつかもしれません。

しかし土壌とは本質的な意味において全く違うものなのです。学校で習ったことの復習になりますがメソポタミア文明は肥沃な土地で文明を発展させた歴史を持っています。

しかし過度な森林伐採によって生態系が崩れ、土壌の塩害によって滅亡したと習ったと思います。

土壌といいますのは、土はもちろんですが植物の根とかミミズやモグラなどの小動物、バクテリアなど様々な生物相で構成されています。

植物や育つ過程で葉っぱが枯れてやがて腐っていく。

それを小さな生き物が食べるという流れがあって、その中で食物連鎖の頂点にある肉食動物が彼らを食べて、排泄して、それが肥料となり、これが植物の生育に貢献するという循環になるのです。

そうして経過の中で作られたものが土壌と呼ばれるもので、日本における土壌の場合は実に約千五百年~ 約数十万年という長い年月をかけてできあがったものなのです」 この土壌を研究するのが、「土壌学」というものになります。

わたしは農業生産法人を経営していた中で植物を育てるというより土を育てることに農業経営の大切さがあると気付かされました。

そこで経験だけではなく論理的な体系も学んでおこうと土壌学の世界に足を踏み入れてその魅力にとりつかれてしまいました。

地域による土壌の違い

世界的には土壌を大まかに分けると、気候帯に沿って寒冷帯のポドゾルと呼ばれる白っぽい土や温帯の森林土、そして草原土から砂漠土と呼ばれる茶色の土、亜熱帯の赤黄色土、熱帯の赤色土などがあります。

そしてさらに気候とは関係ない部分で、火山が多い土地に見られる黒ボク土などが加えられます。

日本の土壌研究では、気候や砂や葉といった土壌の母材によって分類しているのではなく、農業からみたものが主流となってきました。

もちろん私は農家ですから注目すべきは農業から見た土壌なわけですが「本来の土壌」と「農業からみた土壌」の違いについても理解を深めたいと思います。

土壌の役割

まず森は緑のダムであるなどといわれていますが、それは森に生える木の根が水分を引き上げる作用だけではなくて、周りの土壌がもつ力を含めてそう呼んでいます。 

土壌の中には、様々な生き物の活動があって植物の根による隙間があることによってスポンジのように水を貯蔵する役割を果たしています。

たとえ干ばつに襲われたとしても、それまで貯蔵していた水分を放出することによって植物は育ち続けることができます。そして生き物の生命は維持されるのです。

つまり、土壌というものはその種類で優劣をつけられるものではなくて地球環境を維持した上で安定させる生態系の一部のことなのです。

農業からみた土壌

ひるがえって農業からみた場合の土壌というものは作物収量で評価されます。

仮に評価の低い土地だったとすれば大量に肥料が投入されるなど、人間の都合に合わせて土壌改良を行います。

こんな行為は土壌本来の役割を無視したもので、アスファルトなどで舗装された道路が土壌本来の役割を果たせず、環境に悪影響をもたらしているのと、同義に捉えても良いでしょう。

しかしそんなことを言ってたら私たちはたちまち食べるものが少なくなります。現実的には、人間は作物を食べて生かされているので農業を無視することはできないのです。

だからこそ私たちが生きる環境を見つめ直して適切に暮らしていくために3つの比率がバランスを保てるように働きかけていかなければならないのです。

この記事のまとめ

土壌学で知っておくべき3つのバランス

  1. 自然本来の土壌
  2. 農業用地
  3. アスファルト

私たちは、自分の足下をよく見なければいけない時期に入っています。

最近多発している都心型ゲリラ豪雨などは、コンクリートやアスファルトなどに地表が覆われたために、土壌本来の働きができないことが大きな原因の一つのひとつとなっています。

そこで土壌の重要性を認識してもらいたいと思います。土壌が、利便性や生産性といった人間の勝手な目的によって失われるということは、土中生物の死を意味します。

それが生態系の破壊につながるのです。それはつまり、人間の存続の危機をも示しているのだと思いませんか?