前回は「第5話 IPM(総合的防除技術)とナスのアグリハック」で IPM(総合的防除技術)の概要について共有させていただきました。
今回は病気の予防について、いくつか提案させていただきます。
ナスに襲いかかる病害の発生を抑える
ナスは多くの水を必要とする作物ですが、病害を抑えるには湿度を低く保つことが大切です。
この矛盾に立ち向かうために、ナスの畑の排水性を最大限まで高めて抵抗性台木を利用することで、土壌病害の発生を極限まで減らすことができます。
こうした畑をデザインしたうえで適切な防除と組み合わせれば、多くの病害はほぼ発生しないと思います。
ナスの圃場の排水対策
この矛盾を解決するために圃場によって条件は変わりますが最高な対処法は畝間に溝を掘って、籾殻を敷き詰めた上にコルゲート管を設置して、さらに籾殻を乗せて土をかぶせます。
本書でも紹介させていただいておりますが「わたしの畑の排水対策」で詳しく解説しているので楽しみにしてください。
予防法について
しかし、仮に病害などが発生したとして取り除いた果実や茎葉圃場に置いておくと、病原菌が増殖して、新たな感染源になりえます。
病気に侵された葉、茎、果実は確実に畑から持ち出すようにしましょう。
こうした細かな配慮で、さらに病気の被害を軽減することが可能になります。
植物の病害とは主に、糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)、ウイルスが病原になって、これらが感染となって起こることが多いのです。
カビやバクテリアは一般的に高湿度を好む傾向があるのでナスを栽培している畑でが風通しを良くする設計にします。
圃場デザインの提案
また、土壌そのものも過湿にならないよう管理することが根本的に病害の発生を減らす対策の柱となります。
そのためにも、収穫と同時に行うといいのが軽めの切り戻しで樹勢を弱くしてやるのとソルゴーの活用です。
ソルゴーは防風対策やIPM(総合的防除技術)で天敵の住処を用意するものですが、それなりに風通しは良いので十分な効果が見込めます。
圃場の選択
そして他にも重要なことが、この夏秋ナスを栽培する畑をどこにするのかということです。
管理する畑が少ない場合には選択の余地はないのかもしれませんが、畝づくりや通路の工夫で、収穫スピードや管理時間のカットにつながります。
夏秋ナス栽培では、定植から収穫まで朝早くからの作業が毎日続きます。
夏秋ナスは栽培期間が長いので、日々の積み重ねが大きいのです。
仮に1つの畝の管理時間が1分減っただけでも、10畝あれば10分も変わってきますし、半年で数日分の作業時間をカットすることが可能になり、大幅なコストダウンが実現します。
こういったサンクコストは各所に埋没しているので常にPDCAが必要なのです。
しかも、農薬散布だけに頼らない害虫対策などの併用で、これまでの管理作業を楽にしてコストまでも削減することができるので、一般的な夏秋ナス栽培に比べると多くの利益を残せるようになります。