前回は「第13話 過剰の欠乏 ナスへの適量施肥を心掛ける」と題して、土壌分析の必要性について共有させていただきました。
今回は、その土壌分析につながる話ですが土壌病害による連作障害について何故、発生するのか解説をしていきます。
連作障害ってなんだ?
連作とは同じ畑に同じ作物をつくり続けることをいいますが、一般的に連作をしていると土壌病害が発生しやすくなって、ホウ素、鉄、マンガンなどの微量要素が不足してしまい、葉が黄化するなどの症状が発生しやすくなるといわれています。
私が栽培する夏秋ナスで多収だった事例をあげますと、1株当たり28kg収穫した実績があります。
こうした多収を支えるには、まず土壌の生産力が高くなければなりません。
土壌中の生産力を高めるためには、よくいわれることが「排水性がよくて水持ちの良い」という相反した要素をもった土壌をつくらなければ思うような収量はあがってこないのです。
これを物理的に改善するには、これまで何度かご紹介させていただいているコルゲート管を埋設する手段がいくつかありますが、詳しくは「わたしの畑の排水対策」などを参考にしてみてください。
連作障害を防ぐ方法
土壌中の生物の多様化を意識して団粒構造を壊さないように心がける必要があります。
団粒構造が保たれ土壌が根の健全な発育を守ることになり、養水分を安定的に供給できる土壌になるのです。
また、土壌病害というのは連作しなくても、初年度から発生することもあります。
対策としては土壌病原菌に拮抗する菌類を増やすことや根を健全には保つ排水性を上げることにつきるのです。
これらを踏まえて考えますと、毎回畑を替えるよりも、同じ圃場で土づくりを続けることによって土壌中の生物が多様化していて、排水の良い土壌を維持し、微量要素欠乏を起こさないような畑のデザインにしたほうが良いと思います。
可能性のある提案
もう一つ、可能性のある話を提案させていただきます。
これは、ナスではなくトマト栽培における話ですが、うちのスタッフが間違えて指示の5倍くらいの畑に施肥をしてしまって、それでもトマトの栽培を進めていたんですが長梅雨で圃場は常に水で溢れていたんですね。
その後も水捌けに異常をきたし、常に川のようになっていたにも関わらず、この時は例年の2倍以上の収穫を得ることができました。
普通はトマトって雨の度に実割れを起こして商品にならないのですが、逆に不思議と実割れに強い畑になりました。
これって常に水があることで適量を吸い上げるので、雨にやられて急に土壌水分が変化するよりもトマトには都合が良かったのでしょうね。
収穫【アグリハック】笑
しかも、収穫時には畝間にスキー場で使うソリを浮かべてその上に収穫カゴを乗せていたんですが、楽なこと楽なこと笑
水の中では移動スピードは当然、落ちますが果菜類の収穫なので特にその影響はありません。
物理面では、ずっと軽く水が流れている状況なので虫も発生しませんし、涼しくて逆に良いことづくめでした。
ここにヒントが隠されていると考えていて未だに研究中ですが、肥効面では図らずも露地で「水耕栽培」のメリットが得られて、この辺りのバランスを調整すればすごい栽培方法が見つかるんじゃないかと楽しみにしています。
同じナス科のナスですし、原産地インドでの元々の生育状況を考えると応用できるのではと考えております。
水を流し続けることが可能なのは圃場条件によって稀ですから、太陽光パネルとエアレーションを組み込むとか色々と方法を考えつきそうです。
この辺り機会があれば「楽しい農家のDIY」で紹介させていただきたいとお思います。