前回は「第29話 アグリハックの具体例 ナスの収穫スピードを考えた仕立て方」と題して平面3本仕立ての栽培方法について共有させていただきました。
栽培にも生理上、効果的ですが物理面においても収穫スピードという側面において大きなメリットがあるので是非トライしてみてください。
ナスの産地で農協とかの営農指導がある場合は慣行農法と違うので文句を付けられますが翌年には教わりに来るようになるので1年我慢しましょう笑
今回は育苗というものについて買うか育てるべきかについて考えましょう。
私の運営していた農業生産法人では野菜や果実を栽培する規模が10ヘクタールを超えてから育苗事業部を発足させて、自分たちで苗作りを始めました。
この育苗事業部ではビニールハウスや加温設備などへの初期投資に、研究開発費としての費用や維持費がかかります。
このシリーズでも繰り返し、お話しさせていただいていますが「苗八作」といって苗の出来で8割決まります。
本来は「苗半作、八分作」といって農業では古くから伝わる言葉で「苗の出来によって作柄の半分が決まる」という意味です。
それくらい作物栽培において、苗作りは重要なのでフォーカスすべきポイントです。
もしも、苗作りに投資をするのであれば相当な苗数をつくって、苗としての販売も視野に入れていかなければ、買った方が安いといえますし、長期間にわたって苗をつくれるようにしたいところです。
しかし、農家としては苗半作といわれる育苗をやってこそという醍醐味を味わうためにも是非チャレンジしておきたいところです。
種から育てたナスの苗を畑に定植をして黒光りした実を付けた時の感動はなかなか味わえないものですよ。
そこでおすすめの方法は購入苗を二次育苗することです。
これなら簡便なビニールハウスや大型のトンネルを利用すればコストは劇的に抑えられます。
ビニールハウスや大型のトンネルは、太陽が一日中当たって排水が良く、突風の当たらない場所に設置しましょう。
電源やかん水設備を準備できる場所を選ぶことができれば最高です。
夏秋ナスは、一般的には、5月上中旬に定植するので、播種は早いと2月上中旬から始まります。
暖房費が多くかかる寒冷地での育苗は経済的には不利なので、育苗のコストをよく計算して、自分で苗をつくるのか、購入するのか検討するか自分専用の損益分岐点を割り出して判断するようにしましょう。