前回は「第61話 露地のナス栽培によくある障害」と題して、ナスの露地栽培中は真夏を経験するので様々な障害の危険性に見舞われます。特に異常気象の続く昨今では、その対策について考えておく必要があるので今回は日焼け果などの対策について解説させていただきます。
今回は、夏秋ナス栽培の管理のコツを紹介させていただきたいと思います。
夏秋ナス年間出荷実績を時期別にみると十月以降に収穫される量は15%程度と、収量は劇的に落ち込みます。
しかもkg当たりの単価もこの時期は促成ナスの出荷が始まるので、促成ナスと比較すると気温の低下とともに肥大に日数がかかるため品質に劣ってしまう夏秋ナスは150円程度まで下がります。
また、この時期は日照が弱くなって、光合成産物が少なくなる時期になります。
ナスの樹にとっては、脈芽や収穫に至らない果実に多くの光合成産物を転流せねばならず、果実の肥大が非常に悪くなる条件が揃ってくるので管理に注意しなければなりません。
例えば手入れを中止して果実だけを収穫した側枝は光を求めて上に茎葉を伸ばすようになります。
次に収穫する果実の周辺の日当たりを阻害して、肥大を遅らせるとともに果実の色を褪せた赤色にしてしまいます。
収穫終了時期を見極め、開花から収穫までの日数を仮定して、収穫に至らない花や果実、不要な茎葉や脈芽をかき取るようにします。
ここでの判断基準は邪魔にならない葉は残そうよとシンプルな感じでやりましょう。
また脈芽の一部は成長ホルモン確保のために必要なので残します。
収穫時はもちろんナスのアグリハックでご紹介させていただいておりますが実とともに茎葉も切断するようにします。
こういった経験を積んでから収穫跡を観察すると収穫果実数が予測できるようになります。
農業に限らず、PDCAサイクルを上手にまわして、効率ばかりを追わずに、時にはすぐに捨てずに観察して、反省点を把握しておくとよいでしょう。