前回は「第64話 促成ナス栽培の一般管理の手法とアグリハック」と題して、収穫から冬越しへとつなげて収穫を終了するまでをみていきたいと思います。
今回は、周年でナスの栽培をするためにも露地ナス栽培で被害を及ぼす病気、害虫の特性と、被害を防ぐ方法について紹介させていただきます。
病害の正体と対策の三原則
病害というのは、ある三つがすべて備わった時に発病します。
それは「病原体」と「その病害に侵されやすい植物の性質」と「病原体にとって好適な環境」の三つです。
植物の病害の病原体(病原菌)は、糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)そしてウイルスのグループに大多数が属しております。
農作物の病害は、湿度が高いと発生しやすくなるわけですが連作によって発病が増加する病害は主に六種類だと思います。
この六種のうち、株全体を枯らす被害が大きい病害には根腐疫病、半身萎凋病、青枯病が有名なところです。
これらの発生を抑えるにはシンプルに抵抗性台木を用いることでほぼ解決できます。
病害防除のIPM(総合的病害虫・雑草管理)を組み合わせることが大きな効果が期待できると思います。
病原体が細菌の青枯病では、抵抗性台木の利用や発病株の除去など薬剤以外の方法が防除の主流になります。
ウイルス病は、一度感染すると治療できる薬剤はないので、まず前提として感染させないことが最も重要です。
ですから、ウイルスを運んで農作物に感染させる害虫(媒介昆虫)を防除すること、感染源になる圃場内の感染した農作物を早期に取り除くことなどが、減収を防ぐ対策になります。