総合的病害虫対策(IPM)と雑草管理で減農薬

52週アグリMD生産工程管理システム
この記事は約5分で読めます。

前回は「第69話 アブラムシ類とヤガ類の対策」と題して、具体的な発生時期などを紹介しつつ対策について共有させていただきました。

今回は、IPM防除についてもご紹介させていただきたいと思います。

環境負荷の軽減に配慮し、耕種的・生物的防除・物理的などのさまざまな防除手段を矛盾なく組み合わせ、被害の発生が予測されるときに必要最小限の化学農薬を使用する防除法である総合的病害虫・雑草管理が推進されています。

わたしの畑での病害虫の防除は、このIPMの考え方を基におこなっておりブログでも紹介させていただいてきました。

栽培管理や土着天敵の活着により、できるだけ農薬に頼らないで病害虫の発生を少なくするということは安心・安全どうのこうのという出口の目的ではありません。

農業生産法人を経営していくうえでコストダウンによる利益の創出は必要な経営努力です。

農薬を使えば楽ということもないのです。

害虫の生態を知った上で剤を賢く利用する気持ちでいることが大切です。

① カスミカメムシ類(ウスモンミドリカスミカメ、コアオカスミカメ、ツマグロカスミカメ)

これらはいずれも緑色小型のカメムシで成虫の体長は4.5~6mmと特殊なサイズのカメムシはいません。

これらのうち、ウスモンミドリカスミカメは北海道に分布しない暖地系の種で、コアオカスミカメは平地や暖地での発生は少ない傾向があります。

6月からのナスに発生することが多く、7~8月に増加します。

カスミカメムシ類は、小型で動きも比較的に俊敏なため、加害された部位が展葉して初めて発生に気がつくことも多いと思います。

被害症状の早期発見に努めて発生した場合は躊躇なく薬剤散布しましょう。

② テントウムシダマシ類(ニジュウヤホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウ)

オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウはよく似ています。

年平均気温14℃以下の地域にオオニジュウヤホシテントウは発生するとされています。

成虫は体長4~8mmの甲虫で、赤褐色で半球形、翅に28個の黒い斑点があります。

主な飛来時期は6~7月で成虫も幼虫も主に葉裏から表皮を残して、さざ波状に食害し、果皮も同様に食害するので、食害痕だけ見て他の害虫と区別ができます。

成虫の飛来が多くなる時期と、次に卵から孵化した幼虫が分散しないうちに薬剤散布するようにするといいでしょう。

③ ハモグリバエ類(ナモグリバエ、トマトハモグリバエ、マメハモグリバエ)

幼虫が葉に潜って葉肉を食害するハエの仲間で、ナスではトマトハモグリバエの発生が多いのでトマトの産地では特に悩まされると思います。

これらハモグリバエの成虫の体長は約2mmでナモグリバエは定植後だけ発生します。

基本的に防除しなくても土着寄生蜂の働きで発生が抑えられるので経過観察をします。

葉の食害がひどい場合には捕殺するくらいでも効果はあります。

トマトハモグリバエ、マメハモグリバエは6月頃から増加し始めて7月から9月に発生が多くなる傾向があります。

幼虫は地面に落下して土中に潜って蛹になるので、うね面をポリフィルムでマルチすると幼虫が土中に潜りにくくなり効果があります。

④ フキノメイガ

蛾類のツトガ科の仲間であり、幼虫が加害します。

幼虫はやや細めのイモムシで、大きくなると体長は約25mmになります。

幼虫が若い茎に食入して、茎の先端に向かって食害するので、食入孔から上の茎は枯死してしまいます。

アブラムシ類やアザミウマ類などを対象に、非選択的薬剤を散布していると被害は少ない傾向があるようです。

食入した茎の中で幼虫が越冬するので、栽培終了後に圃場の清掃に努めます。

⑤ メンガタスズメ

蛾類のスズメガ科の仲間であり、幼虫が加害します。

幼虫は発育がすすむと、体長は約10cmの大型で太めのイモムシになります。

体色は緑色型と褐色型がある。被害は6~9月が多く、幼虫が小さい時の食害量は少ないため、被害は目立ちません。

しかし、大きくなると食害量は急激に増加し、短期間に葉が食い尽くされます。

畑に発生する虫の数は多くないので、幼虫を捕殺するだけで十分な効果があります。

ここまで3回にわたってナスの害虫対策について紹介させていただきました。

ナスも1株から10kg以上の収量が得られるようになると世界は変わります。

そういった株は適切な管理によって手間がかからない傾向にありますし、農薬などの資材費もほとんどかからなくなってきます。

畑を作る以上はすでに自然との境界線は張られているわけでコントロールを放棄していい理由にはなりません。

しっかり稼いで素敵な農業ライフを送りましょう。


農業で10倍儲けるシリーズ「ナスのアグリハック」を電子書籍化しました。電子書籍用の加筆はしていないので、このブログをお読みいただくか、Amazon プライムにご加入されてましたら無料でダウンロードできます。オフラインでも読めますのでオススメです。