第72話 促成ナスの冬期における増収アグリハック

10倍儲かるナスの栽培アグリハック
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前回は「第71話 ナスの土壌病害はこうして防ぐ」と題して、土壌病害について解説してましたが、これらのことはナス科全般に共通する対策となりますので必見となっております。

まだご覧になっていない方は上記リンクよりチェックしてみてください。

今回は、冬期における促成ナスをする場合においてナスの収穫を増やすためのアグリハックとなっております。

昼加温と炭酸ガス(CO₂)施用のダブルハックで増収と品質向上のダブルアップ効果

促成ナスは、わたしの経営する農業生産法人でも野菜生産額のトップ4に位置する重点品目で、千両なす品種の「丹波なす」は高品質のブランドとして、東京や京阪神を中心に高値で取引させていただいております。

しかしながら、近年では燃油代の高騰や単価の低迷による収益性の低下が問題となってきました。

そこで、これらの問題を解決するために、これまでの研究成果である「日中の施設内加温」とハウス栽培のトマトで導入している「炭酸ガス(CO₂)施用」を併用した冬期における促成なすの増収と品質向上のダブルアップ技術を研究しています。

ここでは、現在取り組んでいるアグリハックと研究成果を紹介させていただきます。

昼加温と炭酸ガスの施用方法

6m間口で長さ30mのハウスを3棟

  1. 昼加温+CO₂施用区
  2. 昼加温区
  3. 無処理区

1区1棟の検証結果となっています。

※なお、この試験においては岡山県の農業改良普及センターのデータを基に試行錯誤をくわえつつ、行っております。

①昼加温+CO₂施用区

昼加温+CO₂施用区では、ハウス中央部に灯油式の炭酸ガス発生機(CG-254S1)を使用)

24時間タイマー、サーマルコントローラ、炭酸ガスコントローラを利用して6:00~15:00の間、ハウス内の温度が換気温度(28℃)以下の場合に炭酸ガス濃度が1,300~1,500ppmとなるよう炭酸ガス濃度を調整しました。

②昼加温区

昼加温区では、昼加温+CO₂施用区と同等の熱量を発生させられるよう、400Wの電熱温風ヒーターを15機設置して昼加温+CO₂施用区の装置と同時に稼働させました。

③無処理区

京都における指針を基に慣行農法で栽培しました。

以上の3区を比較して、昼加温と炭酸ガス施用の併用が促成なすの収量と品質におよぼす影響を調べてみました。

昼加温と炭酸ガス施用のダブルアップ効果

各ハウスの温度推移のデータを収集したところ、昼加温+CO₂施用区と昼加温区では、装置が稼働している間、無処理区に比べ2℃前後の温度上昇がみられました。

収量と品質については、促成なすで単価の高い冬季(12月~2月)の正常果収量が、昼加温+CO₂施用区では無処理区に比べ155%、秀品収量は同192%と大幅な増収効果がみられました。

また、形状不良果率も無処理区の5.1%から1.9%に減少しました。

昼加温区では、増収効果はわずかながらも、形状不良果率は減少するという結果になりました。

また、栽培全期間の収量と品質についても、優品収量が昼加温+CO₂施用区で無処理区に比べ133%、秀品収量が同128%の増収効果がみられ、形状不良果率も無処理区の6.7%から5.5%に低下しました。

昼加温区でも、収量が増えて形状不良果率が低下する傾向がみられましたが、その割合は誤差の範囲内といえました。

この結果から、昼加温と炭酸ガス施用の併用による増収要因を、昼加温+CO₂施用区では果実肥大の促進効果がみられたことから、同化量の増加により生育が旺盛になって、果実肥大の速度が増すことで側枝の回転速度が上がり、収量が増加したと考えられます。

さらに、昼加温+CO₂施用区では、肥大速度の促進により低温の時期を中心にスムーズな肥大となって果実の凹凸が少なくなり、果実の外観品質も向上しました。

以上のことから、促成なすで昼加温と炭酸ガス施用を併用することで増収と品質向上の効果がみられ、特に冬期で顕著な効果が得られると断定できます。

次回はそれぞれの現場に落とし込む場合の課題や方法をご紹介させていただきます。


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