前回は「プロジェクト進捗管理を詳細に見る」と題して、農業生産プロジェクト進捗管理に的を絞り、それらを遂行するための概念・仕組みを説明させていただきました。
マスタースケジュールを記述するときには、WBSコードで定義された生産工程名を農業用に編集して、それを作成することがわかりやすいでしょう。
すなわちマスタースケジュールは、農業用に編集した生産工程名を使用して、マスタースケジュールを表として可視化したものになります。
マスタースケジュールはプロジェクトの初期に作成すべきもので、プロジェクトの開始からカットオーバーまでの、すべての農業生産工程を表現したものでなくてはなりません。
たとえばある契約栽培で、野菜の栽培対象分野がその一部だからといって、その部分だけを描いたものでは、マスタースケジュールとは呼べません。
このマスタースケジュールがプロジェクト全体の進捗管理に使用され、前回にお伝えした詳細資料のベースラインが「プロジェクト実行の指揮・マネジメント」の評価軸になります。
まずは、WBSコードごとにプロジェクトのコストを集計して、マスタースケジュールに記載された生産工程を評価します。
ワークパッケージは、チーム・スケジュールの作成に使用します。
チーム・スケジュールは、プロジェクトの新しい栽培ステージごとに時に作成され、記述範囲はチームです。
これは、直近の栽培ステージに限定します。
チーム・スケジュールで、プロジェクトの全栽培ステージを記述する必要はありません。
チーム・スケジュールを作成する際には、プロジェクトで作成する成果物(ワークパッケージ)を単位として、スケジュールを記述します。
そして「アクティビティ展開」の結果を、スケジュール表の形にするわけですが、このチーム・スケジュールと担当者スケジュールは、どちらも成果物の作成スケジュールであり、成果物を単位とするか担当者を単位とするかで、スケジュール表の描き方を変えるべきです。
これがプロジェクト進捗管理の、「プロジェクト作業の監視コントロール」の評価軸になるからです。
農業生産工程管理には、ワークパッケージごとに、作成責任者、作業予定(作業開始予定日、作業終了予定日)、成果物の予想量、栽培ステージからみた生産性を表す平均工数、(予想量×平均工数)で計算される予定工数を記載します。
この作業予定と予定工数が、チーム・スケジュール達成の目標値になります。
これが「プロジェクト作業の監視コントロール」の目標値にもなるわけです。
これを生産工程ごとに集計したものが、マスタースケジュールの達成目標とします。
マスタースケジュールの開発工程を示す、線1本の目標値になるので開発フェーズ単位でこの目標値を集計して、農業用に編集して定義した以外の作業、プロジェクトマネジメントや栽培支援作業等の進捗を含めて、プロジェクト全体の進捗管理を行いましょう。
以上をまとめますと、「プロジェクト実行の指揮・マネジメント」は、マスタースケジュールと詳細資料のベースラインで行われ、その評価単位は、開発工程を示す栽培課程であるということになります。
「プロジェクト作業の監視コントロール」はチーム・スケジュールで、その管理はプロジェクト成果物(ワークパッケージ)ごとに行われる。
これがプロジェクト進捗管理を行う上での大原則です。