前回は「実際の栽培プロジェクト計画書」と題して、52週農業生産工程管理システムの、栽培プロジェクト計画書を説明させていただきました。
栽培プロジェクト概要は、その名前の通り、栽培プロジェクト全体を一目で把握するのに適した資料になっていたと思います。
次に、この栽培プロジェクトのマスタースケジュールを説明します。
このマスタースケジュールには、並行する3つの開発が含まれています。
52週で変化する需要先のエンドを管理する圃場管理システムの開発、営農ベースでの業務開発、データ移行システム開発で、それらを開発する栽培スケジュールを組み合わせたものになっています。
マスタースケジュールの真ん中にあるのが業務開発で、栽培プロジェクトの開始からカットオーバーまで継続的に進められます。
その他の2つの開発は、この業務開発を支援する役割を担っています。
圃場管理システムの開発は、業務開発の開発実施フェーズのときに、圃場管理システムを提供する52週ベースのスケジュールになっています。
業務プログラムのオンライン運用テストは、圃場管理システムがなくては実行できません。
データ移行システムの開発は、業務のIT(総合テスト)とST(システム・テスト)用にテスト・データベースを提供するもので、カットオーバーの際に、レガシー・システム(既存システム)から本番システムへデータベースの移行を行います。
移行が成功すれば、カットオーバーが迎えられるというわけです。
マスタースケジュールは、以上のような関係を実現するものになっています。
多くの生産プロジェクトは、複数の開発スケジュールで構成されおり、しかもそれぞれが密接な関係を持つことに、注目してください。
どの時点でも遅延が発生すると、予定日でのカットオーバーは迎えられないのです。
このマスタースケジュールと対をなすAHS(アグリハック・スケジュール)で、業務開発の外部設計フェーズにあたるものを説明したいと思います。
これは最初のトピックスで説明させていただきましたがマスタースケジュールの横線上に記載の農産物開発工程名は、このAHSコードに記載された名前と一致しなければなりません。
このマスタースケジュールとAHSを入力の1つにして、栽培プロジェクト・コストの見積もりを行います。
その成果として作成されるのが、資源カレンダーです。
資源カレンダーは、栽培プロジェクトで使用する資源のすべてを洗い出したものです。
栽培プロジェクト要員数を表す生産工数と農産物開発機械の台数を、月単位で示します。
生産工数見積もりは2つの部分から構成されています。
上に生産プロジェクトマネジメントの生産工数があり、下に農産物開発担当者の生産工数が「物作り/定例会議」という項目名で記載します。
物作り工数は、マスタースケジュールの3つの栽培スケジュール別に記載します。
営農会議工数などは一箇所にまとめます。
物作りの工数のうち、業務開発の外部設計の生産工数は、AHSの合計生産工数と一致するようにします。
物作りと営農会議の工数を分けて見積もると、AHSの工数を資源カレンダーの物作りの工数に転記すればよくなるのです。
ただし、AHSには会議の工数を含めないことをルールとしたほうがいいでしょう。
会議工数をAHSの外側で見積もるこの方式を、わたしは多くの栽培プロジェクト・マネジャーにオススメしています。