マスタースケジュールはスローガンか

52週アグリMD生産工程管理システム
この記事は約4分で読めます。

前回は「マスタースケジュール作成の基礎知識と目的」と題して、マスタースケジュール作成の目的について共有させていただきました。

栽培プロジェクトの現場で多くのマスタースケジュールを見てきたが、残念ながら、正しく描かれたマスタースケジュールに出会うことは少ないのが現実です。

マスタースケジュールと呼んではいるが、その内容はお粗末で、栽培プロジェクトのスローガンでしかないものもあります。

それでは、栽培プロジェクトの進捗管理はできません。

多くの栽培プロジェクトでは、マスタースケジュールが栽培プロジェクト・ルームに掲げられてすらいないのです。

それが実態であって稀に見ることもありますが、手の届く場所に掲げられてはいないのです。

それでは進捗が記入できません。

このような状況を見るにつけて、マスタースケジュールの多くが栽培プロジェクトの進捗評価には使われていないと感じざるをえません。

こうした状況が生じた理由として、以下の2つが考えられます。

まず、農業用にマスタースケジュールの作成法を記述した、適切な指導本がないということ。

アマゾンでこの種の本を探してみたが、マスタースケジュールの作成に役に立つ本は、見当たりませんでした。

次に、マスタースケジュールの重要性が、栽培プロジェクトマネジメントの研修でも説明されていないということです。

さらに、栽培プロジェクト計画書の組織承認の時点でも、マスタースケジュールの品質向上に目が行っていないようです。

これでは、品質の確保されたマスタースケジュールを作成することは困難だと思います。

マスタースケジュールを描くこと自体が、確かに非常に難しい作業で、広範な栽培プロジェクトマネジメントの知識を必要とします。

多くの農家では、マスタースケジュールが必須であるはずなのに、「栽培プロジェクト・マネシャーのほとんどが描けない」と嘆いているのが実態です。

ある農業大学で聞いた話であるが、「栽培マスタースケジュールを描け」と学生に指示を出したところ、彼が持ってきたのは、栽培プロジェクトの開始から終了の間に複数の線を描き、そこに農作物開発フェーズの開始と終了の区切りを入れ、その上部に日付を入れたものだったそうです。

「これで何を管理するのだ」と聞くと、「農産物開発フェーズの開始と終了の日付を、栽培プロジェクトのメンバーに開示します」と言ったそうです。

「栽培プロジェクト進捗管理には、どのように使うのか?」との質問には、「マスタースケジュールはそれには使いません」という答えが返ってきたそうです。

「栽培プロジェクトの進捗管理を行う管理表は、栽培プロジェクトの実態に合わせて、その場で作る方がよい」が、彼の経験則だそうです。

これは、マスタースケジュールの品質うんぬんの話ではありません。

品質の高いマスタースケジュールが出来てはじめて、実現性のある資源カレンダーやコスト・ベースラインが作成される、という基本がまったくできていないことを暗示しています。

問題はそれにとどまりません。

栽培プロジェクト計画書と栽培プロジェクト現場の進捗管理をつなぐものが、何もないのです。

このつながりが欠落していたら、栽培プロジェクトの実態に合わせてスケジュールを変更しても、栽培プロジェクト計画書との乖離が認識できません。

栽培プロジェクトの進捗過程では、実にいろいろなことに出くわします。

そうした事象に対応していくにつれて、栽培プロジェクトの現場は栽培プロジェクト計画書から乖離しがちになる、これを防ぐためにも、マスタースケジュールを評価軸にした、栽培プロジェクト進捗管理が重要なのです。

マスタースケジュールが単なるスローガンでは、これができないのです。

多くの栽培プロジェクト計画書が社内承認のためだけの資料になり果て、栽培プロジェクトの現場では使われていません。

その原因の多くがここにあります。

栽培プロジェクト計画書と現場をつなぐものは、マスタースケジュール、そしてそれと対をなすAHSで、毎週の栽培プロジェクト進捗会議で確認するのも、この両者でしかないのです。

栽培プロジェクト計画書に記述されたその他の情報には、長期の施策が多いと思います。

この点だけでも、マスタースケジュールの重要性は高いといえます。

栽培プロジェクトの開発フェーズの区切りと、そこコストの合計だけでは、栽培プロジェクト現場は動けないのです。