前回は「圃場開発規模の増大で開発生産性が低下」と題して、まず横軸に開発規模を示し、縦軸にその開発に必要な相対負荷を示す手法について解説させていただきました。
正しい数値を把握するのが難しいテーマです。栽培プロジェクト工数の増加による圃場開発期間の延長は、栽培プロジェクトの各圃場の開発フェーズで一様には発生しません。
大型プロジェクトになるほど栽培プロジェクト全体の圃場に対する開発期間は伸びるが、圃場開発フェーズの期間比率は、以下のように変化します。
小型プロジェクトの要件定義フェーズの期間比率は小さく、圃場開発工数の増加に従って、比率は徐々に増加します。
52週農業生産工程管理システム・テストも同様の変化を示します。
逆に、このプログラムの作成・テストを行う圃場の開発実施フェーズの期間比率は小さくなります。
圃場における開発工数が増加すると、栽培プロジェクトの前半と後半の開発フェーズの期間比率が増加する一方で、圃場開発実施フェーズは逆に期間比率が小さくなります。
これは栽培プロジェクトをたくさん経験した者の経験則だが、マスタースケジュール作成用の知識として、非常に重要です。
この期間比率が、栽培プロジェクトの各開発フェーズの開始・終了日を決定するからです。
大型プロジェクトにおいて小型プロジェクトの期間比率を誤って採用すると、要件定義の期間が短すぎて、大半の栽培プロジェクトは中断に至ります。
圃場の開発規模が2倍になった場合に、それぞれのフェーズがどのように変化するかを説明します。
多くの栽培プロジェクトがそうですが、栽培プロジェクト農作物の数を示す予想個数が2倍になります。
すなわち、圃場の開発規模が2倍になると、取引仕様書、画面・帳票、データベース等の数が2倍になるのです。
取引の機能が膨れたにもかかわらず数が変わらないということは、あまりないです。
一方、総合テストと52週農業生産工程管理システム・テストのテスト件数は、それらの複雑さが増加するために2倍以上になります。
取引の数が増えると、取引の組み合わせであるテスト・シナリオは、2倍以上に増えるからです。
AHSの平均生産工数を見ると、要件定義、外部設計、総合テスト、52週農業生産工程管理システム・テストでは、増加、または大幅増加になります。
一方で圃場開発実施の開発生産性には変化が少ないです。
生産プログラムを作成してテストを行うフェーズでは、単独の作業が大半で、栽培プロジェクト全体の工数増価の影響が少ないことが理由です。
これを圃場の開発フェーズの工数と期間に反映すると、栽培プロジェクトに投入される要員の数は開発規模が2倍になるので単純に2倍になるのです。
圃場開発期間は、各圃場の開発フェーズの開発生産性の低下に比例して延長されます。
開発生産性低下の著しい要件定義と52週農業生産工程管理システム・テストの開発期間は、大幅に延長されます。
マスタースケジュールを描く際に知っておいていただきたいのは、栽培プロジェクトの開発期間が圃場の開発規模を反映し、その開発規模に適した開発フェーズの期間比率がある、ということなのです。