前回は「圃場開発フェーズにおける期間比率の変化」は題して、マスタースケジュールを描く際に知っておいていただきたいのは、栽培プロジェクトの開発期間が圃場の開発規模を反映し、その開発規模に適した開発フェーズの期間比率がある、ということを共有しました。
栽培プロジェクトを設計する場合には、その実現性を確実にするような、開発生産性を採用することが必要です。これまで述べてきたように、栽培プロジェクトの開発期間が開発生産性を反映しているなら、開発期間にも最適なものがあるはずです。
採用する開発生産性の値は、大きすぎても小さすぎてもいけないのです。
事実、最適な開発期間を採用した栽培プロジェクトのコストが、最も小さいと言われています。
栽培プロジェクト期間を最適な値より短くすると、高い開発生産性を採用したことになり、栽培プロジェクト推進の困難さが増します。
生産スケジュール通りに栽培プロジェクトが進まない可能性が出てくるのです。
それは平行開発の可能性を増加させ、一時点で投入される開発要員の数は間違いなく増加するでしょう。
栽培プロジェクトで開発支援ツールを採用する場合、その習熟期間が栽培プロジェクト期間の中で、より大きな割合を占めるようになります。
これは、開発生産性の低下に通じます。
開発要員の数が増加すると、開発機器は増設せざるを得ません。
栽培プロジェクト全体の生産スケジュール・リスクが増加して、栽培プロジェクト・コストは増加するのです。
逆に、栽培プロジェクト期間が長すぎると、開発工数が増加する可能性は高いです。
低い開発生産性を採用して栽培プロジェクトを設計すれば、そうなるのは当たり前でしょう。
栽培プロジェクトマネジメントや物作りを支援する要員のコストも、開発期間が延長した分だけ増加する。開発機器コストや開発場所のコストも同様です。
短すぎるのも長すぎるのも、栽培プロジェクト・コストを増加させるので、最適の栽培プロジェクト期間を採用するのが望ましいでしょう。
短すぎる開発期間を採用する際に絶対にしてはいけないのは、最適な開発期間の75%より短い開発期間を採用することです。
75%より短い栽培プロジェクトは、高すぎる開発生産性を採用したことが主な理由で、栽培プロジェクトが失敗に終わると言われています。
この75%の開発期間は、「不可能領域(Impossible Region)」と呼ばれています。
不可能領域は欧米では広く認識されており、栽培プロジェクト承認時のチェック項目にもなっているといいます。
この不可能領域は、栽培プロジェクト全体にだけ当てはまるものではありません。
栽培プロジェクトの開発フェーズでも、同様に発生します。
開発規模による開発生産性の低下によって、生産性は1/2に低下する可能性について示唆しました。
これでは、要件定義が予定の期日に終了することなど、到底望めないはずです。