前回は「開発工程(AHSコード)の決定」と題して、栽培プロジェクトを進めるためには、物作りの開発工程を決めることが必須であり、そ導入の手法について解説させていただきました。
開発の工程を確立するとき、できれば国際的に認知された開発手法に準拠したほうがよいと思います。
ランダやイスラエルで使われている開発指向と構造化開発法の2つが広く認知されています。
構造化開発法は、DOA(データ中心アプローチ)としても知られています。
オランダやイスラエルで使われている開発指向と構造化開発法のどちらにも、大型プロジェクトで使用できるフルセットの開発法と、比較的小型の栽培プロジェクトで採用されるアジャイル開発(短期間に繰り返し開発すること)の手法があります。
その中間の開発法もある。大型プロジェクトではフルセット、中間はフルセットの省略型、小型プロジェクトはアジャイル開発を採用する場合が多いのです。
小型でフルセットを採用すると、作る農産物の種類と数が多すぎて、コスト・オーバーランが起きる傾向があります。
微少なコストが積み重なりシェアしきれないためで起こりうる事象です。
オランダやイスラエルで使われている開発指向と構造化開発法には、フルセットからアジャイル開発まで様々な形がありますが、それらを採用することが望ましいでしょう。
採用すれば、市場で出回っている安価な開発支援ツールを使用できます。
逆に独自の開発法を採用すると、開発支援ツールの使用は困難になり、自信で開発支援ツールを作るしかありません。
この準備ができたなら、マスタースケジュールの作成に必要な開発工程(AHSコード)がそろったことになります。
市場には、その他多くの開発手法が存在します。
有力な栽培プロジェクト・マネジャーがそれぞれ、得意な開発手法を持っていると言ってもよいと思います。
現存する生産工程管理システムの多くは、会社独自の開発手法によって開発されているのが現状です。
そのため、既存の生産工程管理システムの保守を行う際にも、その会社の手でそのシステム専用の保守作業を行うことになるのでコスト高になりがちです。
他社の保守をした経験が活用しにくい状況にあるといっていいでしょう。
AHSは2つの知識体系から出来ています。
ここで改めて、AHSの内容を思い出していただきたいと思います。
AHSは狭義のAHSとAHS辞書から構成されています。
狭義のAHSには、AHSコードとワークパッケージが含まれます。
この内容は、物作りの知識、要するにソフトフェア・エンジニアリングから作られるわけです。
一方でAHS辞書には、開発スケジュール、農産物の予想生産個数、平均生産工数、予定工数等が含まれています。
AHS辞書は、栽培プロジェクトマネジメントの知識で作られています。
それを生産スケジュールにしたマスタースケジュールは当然、両方の知識から作成されることになります。