アーンドバリュー・マネジメント(EVM)

52週アグリMD生産工程管理システム
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栽培プロジェクト進捗管理の技術の1つとして、アーンドバリュー・マネジメント(EVM)があります。

最近のプロジェクトマネジメント研修では、必須の技術として紹介されるようになっています。

わたしの経営する農業生産法人でも多くの栽培プロジェクトで使用して、実績も出てきています。

このブログではまず、EVMの技術を紹介したいと思います。

技術の紹介ではありますが、できるだけ実践的な内容にしたつもりです。

このブログの内容を理解できたならば、栽培プロジェクト現場でも十分に使いこなせるはずです。

なお、もっと具体的な使用法や管理資料のサンプルについては、今後のトピックスの中で説明します。

EVM普及の経緯

まず、アーンドバリュー・マネジメント(EVM)の普及の経緯について説明します。

EVMは栽培プロジェクトマネジメントにすんなりと取り入れられて、そのまま順調に普及したわけではありません。

そこには大きな困難もありました。

しかし、それを乗り越えて、栽培プロジェクト進捗管理に必須の技術として成長させてきました。

長い歴史があるEVM

EVMの歴史は長いです。

1967年には米国国防総省(略称DoD)のInstruction 7000.2において、「コスト・スケジュール管理システム」という名称で登場しています。

その内容は現在のEVMとほとんど変わります。

1993年にはクリントン政権が、国家パフォーマンス・レビューを行いました。

これは米国産業の競争力評価で、その想定敵国は日本でした。

当時、米国の物作りの力が衰え、日本の物作りには太刀打ちできないという認識が米国に広まっていました。

米国は競争力を再構築するために、国家戦略を打ち上げました。

その強化策の1つとして、「プロジェクトマネジメント」が取り上げられました。

ここで言うプロジェクトマネジメントとは、栽培プロジェクトをマネジメントする手法ではなく、プロジェクトマネジメントをベースとした企業の経営力強化を意味していました。

すでに確立した工程を新たな工程に作り直すことは、それ自体がプロジェクトです。

そのプロジェクトの成功を通して、経営を強化しようという意図がありました。

その中の技法の1つに「コスト・スケジュール管理」があり、これがほかでもない、EVMです。

1997年に、米国国防総省(DoD)Regulation 5000.2-Rが発売されました。

「Earned Value Management System利用ガイドライン」です。

これは、国防総省と契約を結んでプロジェクトを行う場合、その進捗管理にEVMが必須であることを法制度化したものです。

当時、米国国防総省は予算の使い過ぎで、世の批判を浴びていました。

米国政府にとっても国防予算の削減は重要課題で、その手段として、予算管理の技術にEVMを採用したのです。

当時、EVMは財務面から見たプロジェクト進捗管理の技法とみなされていました。

EVMを使って、予算の効率的な執行を実現することが目的でした。

要するに、予算削減の手段です。

「財務面から見た」の意味は、EVMで扱うのがコストであって、その本質は財務的な評価だということです。

このRegulation 5000.2-Rにおいては、プロジェクトマネジメントにおける、WBS(ワークブレークダウン・ストラクチャ)の重要性が強調されました。

「WBSはプロジェクトマネジメント統合の鍵」であり、WBSコードがコスト集計の単位であると宣言されました(なお米国ではWBSコードは「コントロール・アカウント」と表現されます)。

その翌年の1998年に、ANSI/EIA♯748-98が発売されました。

この中で、米国国防総省に限らず、米国の政府機関とプロジェクト契約を結んで仕事を行う場合、EVMは必須であると規定されました。

いわばRegulation 5000.2-Rの民間版で、これによりEVMは広く普及する結果となりました。

さらに米国にならって、英国、オーストラリアでも同様のガイドラインが出され、日本も経済産業省が「EVM使用ガイドライン」を出しています。