クラッシング・コストとは、「クリティカル・パス上の作業で、目標の期日を越して発生するコスト」です。
目標の期日がカットオーバー日なら、カットオーバー遅延で発生するコストを意味しています。
その概念を説明します。
ここでの図はプレシデンス・ダイアグラムで描いていきますので、これを使った分析を「プロセス・フロー分析」と呼びます。
プロセス・フロー分析は追加コストを見積もる代表的な手法です。
当初の計画で、4つの作業のうち、作業1と作業4がクリティカル・パス上の作業です。
この作業1と4の両方で遅延が発生して、作業展開でスケジュール遅延が発生したとします。
その時点の目標日から後に発生したコストが「クラッシング・コスト」、その遅延の時期が「クラッシング・タイム」です。
クラッシング・コストは、当初計画の残コストと遅延した時の残コストの差であって、クリティカル・パス上のコスト合計を(SPI×CPI)で割って求めます。
クラッシング・タイムも同様で、計画の開発期間と遅延した時の開発期間の差を、スケジュールなのでSPIで割ればいいでしょう。
この計算結果を受けて必要な対策を打ちます。
例えば、作業の要因を増加させたとします。
すると作業の期間が短くなります。
その影響でクラッシング・コストは減少し、クラッシング・タイムも短くなるのです。
この改善見積もりには、作業1と作業4のSPIを再計算する必要があります。
そこから、改善後のクラッシング・コストとクラッシング・タイムが求められるのです。
このように、クラッシング・コストとクラッシング・タイムを正確に把握するためには、作業展開の変化、プロセス・フローの変化に目を配ることが重要になります。
この「プロセス・フロー分析」ができると、遅延の影響を正確に把握できるようになります。
コスト・オーバーランならその大きさが見積れます。
複数の作業間の前後関係が絡みあったプロジェクトでは、必須の分析法といえます。