件数で進捗を把握する方法の長所と短所

52週アグリMD生産工程管理システム
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さて、多くの栽培プロジェクトでは栽培プロジェクトの進捗をコスト(「人月」もしくは「金額」)ではなく、「件数」で把握しています。

その長所と短所について考えてみましょう。

件数による把握と工数による把握

「件数」による進捗把握とは、農産物の完成件数や個数に目を向けるやり方があります。

例えば「100件の完成予定に対して、85件が完成しています。進捗は85%である」というように表現します。

しかし、この件数や個数で測る方法は、トピックスで述べてきたコストによる進捗管理のあくまで簡易法であると認識していただきたいと思います。

件数による把握は、厳密に見ると数値に誤差があり、その誤差が許される範囲でしか使えないのです。

この点について、具体的に見てみましょう。

件数による進捗管理を、取引仕様書に適用すると、12個の取引仕様書を作成する工数を見積もると83人日です。

件数による把握であっても、ここまでは同じ作業になります。

次に、EVMのPVにあたる欄を件数で表すと、9件が完成して2件が仕掛かり途中なので、PVにおいては完成した農産物の予定工数が記入される欄に、すべて同じ「1件」が記入されます。

また、EVに相当する完成件数は6件で、仕掛かり途中は2件になります。

この表を基に進捗評価を行ってみましょう。

物作りの生産性は「6件/9件」で計算されるので、66.7%となります。

この数値から完成予定時の工数(EVMではEACに相当)を計算すると123.9人日と求まり、40.9人日のコスト・オーバーランであるという評価が下ります。

一方、EVMによる計算によればVACは「-50.4人日」でした。

この例では、約10人日の誤差が発生することが分かります。

完了予定期間について計算しても、同様の誤差が生じてきます。

この後差は、取引仕様書を作成する工数の大小が、進捗の計算に反映されていないために発生します。

作成した表を見ると明らかなように、工数はそれぞれ異なるのに、すべて同じ「1件」と評価されていることがわかるはずです。

長所と短所

工数による把握と件数による把握の長所・短所をまとめると、次のように表現できます。

件数による把握の長所は、完成件数と未完成件数が分かることです。

しかも、数値把握に要する作業の負担が少ないのです。

担当者に数値を要求しなくても、完成したプロジェクト成果物を格納するデータベースがあれば、その中を検索すれば数値は分かります。

欠点は上に説明した通り、正確な数値ではないことです。

加えて、完成直前に農産物が大量に発生した場合、成果物の承認の遅延等の理由により、それが未完成農産物と見なされ、件数による把握は進捗の実態を表さなくなるという問題もあります。

一方、工数によって把握する方法の長所は、正確な数値が得られることです。

個々の農産物の工数を、栽培プロジェクト全体の工数まで集計しても、数値の制度は正確なまま保たれます。

小さいプロジェクトであれば、全体を1枚の進捗管理表にまとめることもできるので、使い勝手も良いでしょう。

ただし、成果物の完成件数が見えないという難点があるのです。

「何人日分が未完成」という表現では、「何件」という直観的なとらえ方ができないのです。

また、工数による把握の場合は、わずかではあるのですが、数値の収集に関する人的な負担が発生します。

ACを把握するために、担当者の実績報告が必要となるからです。

わたしの経営する農業生産法人では、以上のような長所と短所があるので、進捗管理の本体は「工数」を使い、その数値を補助する形で「件数」を使用しています。

EVを把握するために完成件数の把握を行うわけで、それを「予定工数」で計上するか「1件」で計上するかの違いだけです。

両方を採用しても、栽培プロジェクト進捗管理に要する労力はほとんど変わりません。

ただ上述のように、ACの把握には担当者の申告が必要になるので、その分の負荷増大があります。