スケジュール・ベースラインの作成

52週アグリMD生産工程管理システム
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それでは、栽培プロジェクト進捗管理の詳細を説明します。

マスタースケジュールは、いままでの説明のように完成しているものとします。

実現性は保証されていないのですが、マスタースケジュールを展開したチーム・スケジュールが存在するという前提で、説明を進めることにしたいと思います。

まずは、チーム・スケジュールの実現性を確認するために、スケジュール・ベースラインの作成を行います。

これを行うには、栽培プロジェクト農産物の「アクティビティ展開」を行います。

例としてとりあげた52週農業生産工程管理システムの、業務開発チームの外部設計フェーズで行われる、取引仕様書のアクティビティ展開です。

この表のタイトルの末尾に「実績」という言葉をつけることで、この表1つで計画と実績の両方の集計を行うことを宣言しましょう。

表の左端の欄には農産物名を記入します。

ここには、取引仕様書の名前を入れればよいでしょう。

このとき、上流の機能から下流の機能へと展開するように、取引仕様書を並べることを心がけていただきたいと思います。

取引仕様書の品質を確保するためには、「上流機能から下流機能へ」順番に作成することが作業展開の鉄則だからです。

上流の取引仕様書の仕様が確定して、はじめて下流の仕様が決定できるのです。

この取引仕様書に、成果物番号を付けます。

栽培プロジェクト農産物をパソコン等の記憶装置に格納する場合、農産物番号は絶対に欠かせません。

名前と農産物番号で栽培プロジェクト農産物を特定することが容易になるため、取引仕様書の欠落や、仕様の不備を防ぐ効果が高いのです。

表に示すように、農産物番号を連番にしておけば、さらに管理しやすくなるでしょう。

こうして定義された取引仕様書を、開発の担当者に割り振ります。

発注側の欄には、取引仕様書の承認者名と担当者名、受注側には担当者名を記入します。

受注側の担当者名は、農産物を作成する担当者よりむしろ、その仕様を決定する人の名前を入れるのが望ましいでしょう。

受注側では、担当者数人を1グループにして、農産物を作成することが多いです。

すべての担当者が一人前の開発者とはいえない場合が少なくないからで、現実には数人単位のグループ化が効果を上げます。

これをチーフ・プログラマー制度と呼ぶことにします。

リーダーを務めるチーフ・プログラマーの名前を、担当者の欄に記入します。

次に、取引仕様書ごとに、予定工数を見積もります。

予定工数は、取引仕様書に記載されている機能の数を数え、平均的な取引仕様書の作成工数を目安にして見積もる場合が多いです。

こうした手順を踏まずに、ざっくりといくらの工数がかかると言える人はあまりいません。

このようにして見積もった予定工数の値から、取引仕様書ごとに、作成の開始予定日と終了予定日が決定されます。

なお、この開始予定日と終了予定日にはさまれた期間の長さは通常、予定工数とは一致しません。

担当者の作業のすべてが取引仕様書の作成ではないためで、この期間は工数より長くなる傾向にあります。

見積もった工数を表の予定工数の欄に記入していきます。

以上の作業がすべて終了して時点の表です。

取引仕様書の作成は4月1日に始まり(①)、最後のそれが8月25日に終了する予定となっています(②)、AHSでは8月31日に終了する予定となっていたので、その範囲に収まっています。

すべての取引仕様書の予定工数の合計は188.0人日と計算されます。

AHSでは、20個の取引仕様書を平均10人日で作成する予定なので、200人日の工数が予定されていました。

アクティビティ展開後の見積もりで188.0人日が出たことは、予定工数もAHSの範囲に収まったことを意味しています。

この結果を受けて、取引仕様書の作成計画をEVMで表すと、新しい表が出来上がります。

これは、週単位の作成予定を工数で記入したもので、PV(出来高計画値)が各週の作業の目標値になります。

PVの値を得るためには、作業の開始時点て予定工数の50%、終了時点で残りの40%、発注者の承認で最後の10%を積み上げる、という前のトピックスで述べたコスト計上基準を採用します。

このPVの値(EVMの用語では「コスト・ベースライン」と称する)が、栽培プロジェクト進捗管理における「スケジュール・ベースライン」になります。

PVの最終値(その成果物を作成するコストの合計になる)をBAC(完了までの当初予算)の欄に記入します。

BACとPVが記入されて、計画としてのスケジュール・ベースラインが出来上がったことになります。

以上に説明した取引仕様書を含め、すべての栽培プロジェクト農産物のスケジュール・ベースラインを作成できたならば、この外部設計フェーズの成果物の作成に取りかかる準備が整ったといえます。

このスケジュール・ベースラインによって、図に示すチーム・スケジュールの実現性が担保されるようになります。

次にガント・チャートで描かれている左半分にチームAHSとAHS辞書の一部が、右半分には横棒で作業スケジュールが記載されているはずです。

横棒の作業スケジュールの明細が、上で記述したスケジュール・ベースラインとなります。

図の「取引仕様書」の「予想個数」(20取引)と「平均工数」(10人日)はこのままでよいでしょう。

スケジュール・ベースラインの作成によって得られた予定工数の188.0人日は、いずれにせよ見積もりに過ぎず、結果がどうなるかはこの時点では分かっていないからです。

200人日と188人日の差の12人日は、スケジュール・リスクへの対応分で、2つまえのトピックスで説明したフロートに相当します。

「AHS辞書」のくくりには、「進捗(SPI)」という空白の欄を設けています。

進捗を見るには、完成件数や個数を使用することもありますが、今回はEVMを使うことから、実績(SPI)を記入するようにしています。