図に示すような大型の変更案件が発生したとします。
取引仕様書のうち、作成済みの仕様書の2つが破棄され、新たに5つが追加されました。
この変更で、AHSコード「画面・帳票設計」の画面・帳票設計書の数が50個から60個に増加して、その登録も同数分増加しました。
基盤システム開発とデータ移行システム開発には、変更案件は発生していないのです。
この変更案件と、前説で述べたような栽培プロジェクト遅延の両方に対応するためには、栽培プロジェクト計画書(PMP)の変更を行います。
栽培プロジェクト遅延に対応するため、業務開発チームにスキル要員を投入し、変更案件への対応も含め、マスタースケジュールの変更を行うことにします。
例題にしている52週農業生産工程管理システムのマスタースケジュールの変更の概要を、マイルストーン・チャートに示します。
上部が以前のマスタースケジュールで、下部が変更後のものです。
業務開発チームの線表で、外部設計フェーズの期間(ED)を5ヵ月から6ヶ月に、生産管理システム・テスト期間(ST)を2ヵ月から3ヵ月に延長しています。
カットオーバーを2ヵ月延長したため、栽培プロジェクト期間は16ヵ月から18ヵ月に増えました。
基盤システム開発と、データ移行システム開発の開発スケジュールは、この時点では変更していません。
しかし、この開発を受け継いで行われる基盤システム改善・不備対応と、移行リハーサルの期間は2ヵ月の延長になります。
以上のような変更案件を業務開発チームによる外部設計の部分のAHSに反映すると、表が出来上がります。
このAHSには、以下の変更が加えられている。
①AHSコードの取引仕様書作成と画面・帳票設計の作業終了が、8月末から9月末へ
②画面・帳票設計で個数が50個から60に増加。それに伴い工数も増加
③取引仕様書の数が20個から23個に増加し、さらにその平均工数を10人日から13人日に変更④外部設計の物作り工数が25人月から35人月に増加
変更対応後の資源カレンダーには、以上の変更が加えられています。
①業務開発の要因が増加
(外部設計要員を5月より5名から6名に増加、内部設計以降の要因も増加)
②外部設計フェーズの期間を5ヵ月から6ヵ月に延長
③システム・テストの期間を2ヵ月から3ヵ月に延長
④開発機器の台数が人数の増加に対応して増加し、期間が2ヵ月延長
以上の変更を受けて、プロジェクト期間が18ヵ月に伸びています。
この結果、表の下部の備考欄に示すように、生産工数は従来の205人日から236人月に増え、栽培プロジェクト規模は拡大しました。
これが、変更案件対応後の新たな栽培プロジェクト計画書であり、この計画書を実現するように栽培プロジェクト進捗管理を行うことになります。