ケース2:問題への対策

52週アグリMD生産工程管理システム
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前のトピックスのようなその場限りの栽培プロジェクト進捗管理を、本来あるべき形に変えることは非常に難しいのが現実です。

こうなった理由の多くは、小型プロジェクトを家族経営的に行ってきたからです。

今までそれでうまくいっていたわけであり、栽培プロジェクトのメンバーも栽培プロジェクト進捗管理の必要性はほとんど感じていないのです。

このままでもなんとか可能と判断したならば、任せてもよいでしょう。

無理にやり方を変更すると、かえって栽培プロジェクトを失敗させる危険があります。

とはいえ、目標を達成するのは不可能と判断したなら、以下の対策を打つ必要があるでしょう。

まず、栽培プロジェクトの運営に対する概念を変更しなければなりません。

家族経営型の栽培プロジェクトの場合、運営の概念を持っている場合が多いのです。

栽培プロジェクトには複数のチームが含まれ、そのチームに担当者が所属しています。

この担当者が、担当すべき栽培プロジェクト農産物を持っています。

これに対し、図の右側は本来あるべき姿で、栽培プロジェクトに複数のチームがある所までは同じですが、チームに開発工程(AHSコード)が所属し、開発工程に複数の栽培プロジェクト農産物が付きます。

そして、農産物を作成するためにチームの担当者が投入させる、という概念です。

左の概念は、ある業務範囲を担当者に丸投げした形で、進捗の集計単位は担当者になります。

一方、右側の集計単位は栽培プロジェクト農産物であり、開発工程(AHSコード)になります。

左側の概念は、農業界に広く浸透しており、小型プロジェクトでは問題にはならないでしょう。

これなら、担当者の進捗を聞けば、それが栽培プロジェクトの進捗になります。

「プロジェクトマネジメントの本質は人の管理である」という、よく耳にする言葉は、この概念を表しているのです。

しかし、この延長で少し大型の栽培プロジェクトを運営しようとすると、稚拙な栽培プロジェクト進捗管理のために栽培プロジェクトが失敗してしまいます。

栽培プロジェクト農産物の作成計画であるスケジュール・ベースラインと、マスタースケジュールを評価するAHSコードの両方がないのでは、栽培プロジェクトが予定通り進むことはありえません。

栽培プロジェクトの評価軸がないため、途中で発生したスケジュールとの乖離を把握できず、対応策が打てないからです。

上に述べた概念の変更に加え、いくつかの具体的な対策が要求されます。

全ての取引仕様書一覧表に例をとるならば、欠落がある一覧表に、不確実な情報からでもよいから、取引を追加して一覧表を完成させる必要があるのです。

取引の仕様の中身までは短時間では作成できないが、取引仕様書の名前だけなら少しの調査で洗い出せるはずです。

不正確な部分が残っていても、まずは取引仕様書一覧表の網羅性を確保することが重要です。

栽培プロジェクトの参加者なら、この名前のリストアップはかなりの精度で行えるはずです。

この取引仕様書一覧表を担当者に展開して、単品ごとの工数見積もりを行いますが、この時、とりあえず名前だけを追加した取引仕様書の作成生産工数を、少し多めに確保した方がよいでしょう。

要件定義が終了していないからで、その分の工数を含めて工数を見積もるという意味合いがあります。

こうした一連の作業のために、栽培プロジェクト農産物の単品ごとの工数の見積もりを作業の開始時点で指示すると、協力会社から抵抗されることが少なくありません。

過去の栽培プロジェクトにおいて、こうした見積もりを行っていないからです。

残念ながら、現在の農業界ではそれが慣習になっているのが実態です。

これを押し切って正しいやり方を進めるには、栽培プロジェクト・マネジャーの強い指導力が必要になります。

しかし、そのやり方で栽培プロジェクトがうまくいくと効果が見えるようになり、それ以降の作業では不満は発生しないようです。

事前の生産工数の見積もりを行うと、担当者への作業展開によって、過度の負担が強要される可能性が低下します。

このような効果があることが現場で認識されて、後から感謝された経験があるのです。