ケース5:遅延が認識されるまでに時間がかかりすぎる

52週アグリMD生産工程管理システム
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栽培プロジェクトにおいて遅延が発生すると、マスタースケジュールやチーム・スケジュールと実際の進捗との間に乖離が発生します。

遅延とはまず担当者レベルの仕事で発生します。

そして、遅延した農産物の個数がしだいに増加して、最後はマスタースケジュールを見直さざるを得なくなります。

しかし、そこに至るまでにはかなりの時間がかかります。

一方、栽培プロジェクト進捗管理の視点では、マスタースケジュールとの乖離によって遅延を認識します。

遅延の原因の解明は、マスタースケジュールから始めて最終的には担当者まで下りていきます。

言い換えると、マスタースケジュールの遅延が発生するまで、栽培プロジェクトは遅延を認識できないでいます。

この認識の遅れが、栽培プロジェクトの遅延を拡大させる結果を招くのです。

問題をさらに危機的にするのが、栽培プロジェクト進捗会議における発表の仕方です。

進捗状況の発表者は現場の人間なので、最大限の頑張りで遅延の発生を防ぎ、すでに発生しているなら回復できるように努力しているのです。

自分たちの努力の範囲で回復が可能なら、「頑張れば何とかなる。ことさら遅延を大きく言うことはない」と判断して、栽培プロジェクト進捗会議でそのように報告します。

ここで、栽培プロジェクトにおける遅延とはどのようなものなのか、実態を細かく見てみましょう。

作業を開始する直前に、栽培プロジェクト成果物の一覧表を作成し、農産物を担当者に割り振ります。

農産物ごとに工数見積もりを行って、それを集計すると担当者スケジュールが出来上がるのです。

このような「アクティビティ展開」で作成された担当者スケジュールとの乖離が、まず一番下のレベルで発生する遅延です。

個々の担当者の進捗は「進んでいる」、「予定通り」、「遅延」、「大幅遅延」といった何段階かの相対評価で表されます。

このうち、「遅延」は努力すれば対応可能なレベル、「大幅遅延」は担当者の努力では対応できない遅延を意味しています。

担当者レベルの遅延の発生とは、この「遅延」と「大幅遅延」の担当者が増加することです。

担当者の進捗を集めて、栽培プロジェクト農産物ごとにくくり直したのがスケジュール・ベースラインです。

担当者の「遅延」と「大幅遅延」が増え、「進んでいる」と「予定通り」と食い潰すと、スケジュール・ベースラインに遅延が現われます。

ただし、この遅延の数字は、「進んでいる」および「予定通り」との合算でならされる結果、小さく出ることに注意してください。

この数値がさらに集計され、チーム・スケジュールやマスタースケジュールにも遅延が発生することになります。

この際も同様の合算が行われ、遅延は小さく出ます。

チーム・スケジュールのレベルで「開発フェーズの終了が遅れる」という判断が示されたなら、個々の担当者レベルでは、割り振られた農産物を予定日までに完成できない人が、チーム・スケジュール進捗データに示される以上に大勢いることを理解してほしいのです。

このような場合、「大幅遅延」の担当者がかなり以前に発生して、必死の努力でスケジュールの回復に努めたが挫折し、疲れ切った状態で目標のない作業を行っている可能性があります。

担当者が頑張って努力を続けている限り、進捗の発表者は本当の遅延リスクを栽培プロジェクト進捗会議に報告しないことも多いのです。

頑張りが挫折してはじめて、栽培プロジェクト進捗会議に遅延が報告される。

その時点ではすでに、栽培プロジェクト参加者の多くがマスタースケジュールの変更を待ち望んでいます。

それはスケジュール・ベースラインのない栽培プロジェクトになっているのです。