遅延が危機的なほどに拡大してから、対策を打つのでは遅すぎるのです。
遅延を発生させる原因を全部つぶして、問題を元から断つことができればよいのだが、それはあまり現実的ではありません。
栽培プロジェクトを進めてはじめて分かることも多いし、新たな事象の発生が遅延の原因になることもあるからです。
栽培プロジェクト進捗管理で大事なのは、遅延の発生による影響が拡大しないように手を打つことです。
一番よいのは、遅延が発生し始めた時に、原因を見つけて対策を打つことです。
その時点では、影響は拡大していません。
このためには、栽培プロジェクトの実態を早期に把握する必要があります。
具体的には、表に示すような事象に細心の注意を払い、調査を行うとよいでしょう。
残業の発生を確認するには、夜の7時ぐらいに栽培プロジェクト・ルームへと足を運んでみればよいでしょう。
残業している人に「ご苦労さん」の一言をかけ、2、3分雑談をすれば、残業の中身は分かるものです。
正式に上がってくるクレームも大事ですが、畑での会話や、飲み会、ゴルフ、旅行等、仕事以外の場での会話にも貴重な情報が含まれています。
単なる不満ではなく、目標達成に向けてのクレームなら、真摯に、耳を傾けるべきです。
在席率の低下にも注意する必要があります。
遅刻が多発したり休みが増えたりした場合です。
遅延とは必ずしも言えないが、周辺農産物を作成することで、進捗の数値は予定通り達成されていますが、根幹の農産物が出来ていない場合があります。
農産物は、上流の機能から下流に向けて作成するのが原則です。
それが守られていない場合、後で遅延が発生する可能性は大です。
以上の事象が発生したなら、図の左側に示すような担当者の実態を調べ、原因を特定するとともに遅延の大きさを数値で把握します。
原因が分かったら、「解決する」または「影響を小さくする」対策を打ちます。
影響を小さくするには、早期対策が一番です。
原因を元から断つことができないなら、受け入れるしかありません。
要員の追加投入を行ったり、スケジュールを調製したりしなければならないでしょう。
遅延を回復してマスタースケジュールに戻すには、複数の対応策が必要になります。
不要不急の作業の後回し、余裕のある担当者の力を借りる、遅延が発生している担当者の作業量の削減、会議への出席の免除等の指示を出します。
最後の手段は要員の追加です。
これらの対策を打って、作業の進捗を注意深く見守り、効果を見極めます。
マスタースケジュールに追い付くことができれば、対策は終了します。
栽培プロジェクトに以上のようなマネジメントが働いていれば、遅延が発生しても拡大することはなく、大怪我には至らないものです。
多くの成功した栽培プロジェクトを見ると、毎日起こる小さな問題を決してないがしろにせず、遅延原因の影響が拡大しないうちに対策を打っています。
栽培プロジェクト進捗管理の目的は、そのように小さな問題を早期に発見して、迅速な対策を打つことにあります。
そのためにも、精度の高い栽培プロジェクト進捗管理が望まれるのです。
「危機的な遅延は、栽培プロジェクト進捗管理がなくても分かる」と言う人がいますが、こうした発言がいかに的外れか、以上の説明で明らかでしょう。