一般的な顕花植物は、花を咲かせて実を着け、種子を拡散して、種を存続しようとする。
しかし、気候変動や自然災害で、うまく定着できないこともある。
そこで、ジャガイモやサツマイモなどは、種子だけでなく、地価の茎や根に養分やエネルギーを蓄えて、次の萌芽期まで生き延びる戦略(栄養繁殖)をとっている。
このような種子繁殖と栄養繁殖の両方を行う食物は、食物の生存には不利な環境条件(ニッチ)に適応してきた食物ということもできる。
イネ科穀物が食料として重要なのは、貯蔵性が極めて優れるからだ。
条件がよければ、常温で20年近くも保存可能である。
ただし、収穫量が天候に大きく左右される。
天候の条件によってはたちまち飢餓に直面する。
どんなに科学が発達しても、人間の力では天候や自然災害をコントロールすることはできない。
悪天候や土壌の劣化に強いジャガイモとサツマイモは、そういった点から救荒作物として重要な位置を占め、世界中で栽培されるようになった。
現代では、「生存のための食料」としてだけではなく、「おいしい食品」としてのジャガイモ、サツマイモと価値が高まっている。