青果物流通システム論のニューウェーブ

年収1000万の農家になるまでに僕が読んだ100冊の本
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青果物をめぐる流通システムはこれまでなかった構造変革期を迎え、これまでの主たる担い手であった卸売市場と系統共販は輸入農産物の増加と市場外流通の拡大によって大きな改革を迫られてきている。

本書は青果物流通システムの変化をできるだけフードシステムの視点を入れながら解明し、産地の再編戦略、流通システムの国際比較を踏まえて青果物流通システム論の方向を模索することを目的としている。

従来、卸売市場と系統共販は車の両輪の関係にあってリスクを負担しない委託原則が支配的であった。

卸売市場の改革はかつて取引形態にスポットを当てた議論が多かったが、フードシステムや規制緩和の中で卸売市場流通が位置づけされるようになった。

さらに安全性とトレーサビリティをめぐる論議は食品企業や産地にとっても重要な課題となっている。

川上の農業生産から川下の食品企業や消費者とのミスマッチは、急激なフードシステムの変化で経済主体間の関係性の革新を迫っている。

戦略的に関係性を変革することにとって効率的で公平性のある流通システムが形成されるであろう。

本書は国際化のなかでのわが国の青果物流通システム論について産地と国際比較との関係に重点をおき、4部14章の構成をとっている。

それぞれの論文は独立性を保ちながら、重要な課題に接近するというスタンスをとっている。

急激な変化のなかにある青果物の流通システム論の全体を画ききるには、もっと多方面からの接近も必要となるが、新しい視点や課題の詰まった論文を盛り込めたことについては、十分な評価をいただけるものと思う。

本書は千葉大学園芸学部永江弘康教授の退官を記念して関係者が集まり、激変する青果物の流通システムのあり方と革新方向について共同研究を行った成果である。

理論は実際の問題から鍛えられねばならないが、将来の展開方向を見据えた研究が、現在必要となっているといえよう。